ドイツでサプライチェーンのデューデリジェンス法案が成立

2021年6月17日

組合と市民社会による長期キャンペーンを経て、ドイツ連邦議会は6月11日、サプライチェーンのデューデリジェンスに関する法律を可決した。

この法律は、新しいデューデリジェンス立法の大きな流れの一部である。ノルウェーでも、右派ポピュリストからの反対にもかかわらず、透明性法という類似の法律が可決されると予想される。

6月11日に可決されたドイツの法律(Lieferkettensorgfaltspflichtengesetz)は、ドイツ国内の従業員数が3000人超(2024年以降は少なくとも1000人)の企業に対し、自社事業で人権・環境デューデリジェンス義務を果たすよう義務づけており、直接サプライヤーおよび(限定的に)間接サプライヤーの行動も対象としている。

まだ連邦議会の上院が6月25日に法案を可決しなければならないが、さらなる障害はありそうにない。この法律は2023年1月1日から適用される。

法律制定手続きの終わり頃に、さらに2つの成果が法案に盛り込まれた。

  • この法律は、ドイツ企業だけでなくドイツに支社がある多国籍企業にも、同じ基準――ドイツ国内の従業員が少なくとも3000人(2024年以降は1000人)――で適用されることになった。
  • サプライチェーンの企業デューデリジェンスには社内の経済委員会が取り組み、従業員代表委員会の検討事項として組合に発言権を与えることができる。

組合は、この法律はすべての点で組合側の要件を満たしているわけではないにせよ、重要な勝利だと感じている。企業が子会社やサプライヤーに遵守させない場合は、ドイツの裁判所で訴訟を起こすことができる。

ウォルフガング・レムIGメタル執行委員はこう述べた。

「サプライチェーンの企業デューデリジェンスに関する法律は、企業の自発性から法的拘束力のある規制への、長らく延び延びになっていたパラダイム・シフトを表す。この法律は、ドイツ企業のグローバル・サプライチェーンで活動している何百万もの労働者の権利強化に向けた重要な第一歩だ」

ミハエル・バシリアディスIG BCE会長は次のように述べた。

「長い年月が過ぎたが、産業界はサプライチェーンで労働者の権利を保護するための自発的プロセスをほとんど確立していない。したがって、私はデューデリジェンス法を全面的に支持する。多国籍企業は、人権・環境基準の違反に関して目をつぶることができなくなった。さらに、従業員代表委員会には、企業の経済委員会でデューデリジェンスに取り組む権利がある。この権利は、組合がドイツの裁判所で他国の犠牲者を支援できる可能性と並んで、グローバル・レベルで人権を改善するための強力な手段を与えてくれる」

製造業部門だけで、ドイツで150万人以上の従業員を雇用する140社以上が、まず同法の対象になる。

ノルウェーの透明性法の目的は、企業が財貨・サービスの生産においてサプライチェーンで基本的人権と適正な労働条件を尊重するよう促進するとともに、企業が自社の活動の悪影響にどのように対処しているかについて、一般大衆向けの情報へのアクセスを確保することである。

企業はサプライチェーン全体でデューデリジェンスを実行し、結果を発表し、一般大衆の要請に従ってさらに詳しい情報を提供しなければならない。

ノルウェー企業8830社――従業員50人超、総売上高7000万ノルウェー・クローネ(820万米ドル)超――が新しい法律で拘束される。この法律は国連ビジネスと人権に関する指導原則とOECD多国籍企業指針に基づいている。

同法は、中道右派、すべての主要NGO、ノルウェー労働センター(LO)も含めて、ほとんどの政党に支持されている。

インダストリオール・グローバルユニオンは法案を作成したパネルに出席し、全世界の製造業における日常生活の事例を提供したり、法案の内容について助言したりすることによって、この法律の策定に貢献した。

画像:Initiative Lieferkettengesetz