ビジネスと人権に関する拘束力のある条約めぐる交渉

2021年10月27日

今週、ジュネーブでビジネスと人権に関する国連条約をめぐる討議が続いている。これは7回目の交渉であり、サプライチェーンの人権侵害に対して企業に法的責任を負わせる文書を目指している。

インダストリオール・グローバルユニオンはITUCおよび他のグローバル・ユニオンとともに、共同ポジションペーパーで交渉に関する立場を詳述している。今週の会合では、改訂文書(第3版)を取り上げている。

労働組合運動にとっての主な優先課題は、次のようなものである。

  • 条約の対象範囲は広く実質的であり、労働者・労働組合の基本的権利も含めて、国際的に認知されたすべての人権を対象としなければならない。
  • 規模、部門、事業状況、所有・構造または親会社に基づく域外適用規制に関係なく、すべての企業を対象としなければならない。
  • 企業の本国における多国籍企業による人権侵害の犠牲者を公正に扱わなければならない。
  • 企業に人権デューデリジェンスに関する方針や手続きの採択および適用を要求する規制措置を導入しなければならない。

この文書は、国際法において企業の説明責任を確立するうえで重要な一歩となるもので、人権侵害の影響を受けた人々が救済を利用しやすくするだろう。

9月の第3回インダストリオール大会で採択されたアクション・プランは、次のように述べている。

インダストリオール・グローバルユニオンは、多国籍企業による人権侵害から人々を保護するために拘束力のある法律文書を求めて闘い続け、例えば、有効な救済制度に支えられたビジネスと人権に関する拘束力のある国連条約を支持し、拘束力のある法律によって、国際レベル・国家レベルで人権と労働権の義務的デューデリジェンスを規制することを求めて運動する。

「インダストリオールは、企業による人権侵害の免責をなくすために、ビジネスと人権に関する拘束力のある国連文書に取り組んでいる。企業の免責の根絶を持続可能な回復の中心としなければならない」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

独サプライチェーン法のような国家レベルの拘束力のある規制や、欧州レベルの対応する規制に関する討議は重要な措置である。しかし、そのような措置は、既存の労使協定と重要な関連を持たせることができるグローバルな枠組みを必要とする。

そのために、インダストリオールとドイツの加盟組織IGメタルは、10月28日の交渉でサイドイベントを主催し、企業の自主規制アプローチおよびビジネスと人権に関する拘束力のある国連条約が、どのようにより公正な世界経済をもたらし得るか検討する。