COP26で公正な移行宣言を採択

2021年11月5日

14カ国政府と欧州委員会は、気候回復力のある未来への公平な移行のための枠組みを提供する意欲的な公正な移行誓約を採択した。

この宣言には、米国、カナダ、英国、欧州委員会、欧州数カ国など、その内容を実現するための経済的重要性を持つ北側諸国が署名した。富裕国は貧困国の気候変動緩和と脱炭素化努力への資金供給を誓約しており、この資金は今後、移行の原則の対象となる。

富裕国は国内の公正な移行計画にも宣言の原則を適用する。

宣言の原文は、英国政府の公正な移行責任者、ITUC、インダストリオール・グローバルユニオンおよびインダストリオール・ヨーロッパ労働組合が緊密に協力して作成した。

この宣言は、パリ協定、国際労働機関(ILO)の公正な移行のための指針、ポーランド・カトウィツェのCOP24で採択されたシレジア宣言をもとにしている。

宣言は、気候変動と経済の脱炭素化が、貧困層や不安定労働者、炭素集約型産業、化石燃料に依存する国の人々に不釣合いに大きな影響を与えること、ジェンダー、人種、年齢その他の不平等を悪化させる恐れがあることを認めている。宣言の目的は、世界が気候に優しい経済に移行する中で、誰も置き去りにされないようにすることである。

宣言の原則は以下のとおり。

  • 新規雇用への移行にあたって労働者を支援
  • 社会的対話とステークホルダー・エンゲージメントを支援・促進
  • 持続可能な開発をもたらす経済戦略(化石燃料に依存している国の経済多角化への支援など)
  • 新規グリーン雇用が外注化されないように現地の包括的なディーセント・ワークを創出
  • 公正な移行原則は認知されたデューデリジェンス基準を用いてサプライチェーン全体で適用
  • パリ協定と各国が自主的に決定する約束の枠内で公正な移行の進展を報告することを約束

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう述べた。

「当事者全員が、このCOPで公正な移行について話している。これだけでも私たちにとって非常に大きな勝利であり、私たちの働きかけが大きな進展をもたらしたことを示している。しかし、私たちが同じものについて話すようにするために、定義をめぐって常に苦闘してきた。公正な移行が実際にどのように実行されるかについても、詳細がはっきりしない」

「この宣言は非常に重要な先例を作る。すべての国の組合がこの宣言を広く普及させ、自国の政府、企業、その他のステークホルダーに宣言の内容を理解させ、これらの原則ならびにILO指針が厳守されるようにするために精力的に働きかけるべきだ」

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記次長が付け加えた。

「私たちは、ただ別の宣言について話しているのではない。労働者との効果的な社会的対話への政府による明確な取り組みについて、パリ協定の報告プロセスの中で公正な移行原則を実施する責任を各国政府が受け入れることについて話している。組合は各国政府に大きな期待を抱いており、全面的に関与するよう求めている」

宣言の採択に至るまで、労働運動は長年にわたって熱心にロビー活動を続けてきた。先週、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は共同宣言を発表、各国政府に対し、机上の空論にとどまらず、社会的対話と労働者参加を尊重した具体的措置によって、公正な移行を実施するよう求めた。

ユナイト・ザ・ユニオン事務所でのCOP26公正な移行会合の参加者

組合はCOP26で今週、公正な移行イニシアティブを促進するためにサイドイベントをいくつか開催した。締約国は11月4日のエネルギーの日に、南アフリカのエネルギー部門向けに85億ドル相当の脱炭素提携を発表し、組合はこれを慎重に歓迎した。南アフリカは大規模かつ国際的な公正な移行プロセスの格好のテストケースとなるため、組合は南アフリカにおける事態の展開を厳重に監視していく。

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、11月10日水曜日にEUパビリオンで行われる組合、使用者、政治家および欧州委員会との共同サイドイベントで、公正な移行ついてさらに討議することを楽しみにしている。