ミャンマー国民に権力が返還されるまで弛まず進む

2022年2月4日

ミャンマーの軍事クーデターから1年、インダストリオールは、ミャンマーの組合だけでなくグローバルな労働運動の指導者も集めてウェビナーを開催した。

ミャンマーに民主主義を取り戻す闘い――クーデターから1年

ウェビナーの講演者は以下のとおり。

  • アトレ・ホイエ、インダストリオール・グローバルユニオン書記長
  • ケマル・ウズカン、インダストリオール書記次長
  • 髙倉明、インダストリオール副会長
  • 岩井伸哉、インダストリオール東南アジア地域事務所所長
  • シャラン・バロウ、ITUC書記長
  • マウン・マウン、ミャンマー労働組合総連合会長
  • モー・サンダー・ミント、ミャンマー労働同盟
  • ルワン・ウェイ博士、包括的経済制裁提言チーム

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は開会の辞で次のように述べた。

「1年前、NDLが選挙で地滑り的勝利を収めたあと、新議会の宣誓式と新政権樹立の直前に、ミャンマー国軍がクーデターを起こした。

クーデター以降の1年は恐怖の1年だった。軍事政権が残虐行為を繰り広げる一方で、国際社会は民主主義の回復に貢献する能力も意思も示していない。1年で1500人が殺害され、1万1500人以上が逮捕され、160万人以上が国内難民になり、バングラデシュ、マレーシア、タイに24万1000人の難民がいる。

軍事政権はミャンマー国内で市民を追い詰めて砲撃しているだけでなく、タイの難民キャンプにも攻撃を加えている。この状況は人道に反する罪以外の何物でもない。

それでも欧州連合は、武器以外すべて(EBA)の特恵貿易を撤回することができない。EBAは、労働権・人権などの国際的な価値観と原則に基づいて、発展途上国や後発開発途上国に貿易特権を与え、貧困を軽減して雇用を創出する制度である。

一体どこの星で、ミャンマーで起こっていることが国際的な価値観と原則に基づいていると言えるだろうか?

私たちはインダストリオール・ヨーロッパ労働組合とともに、欧州連合のすべての加盟組織に対し、各国政府に圧力をかけて付与されたEBA特恵を撤回させるよう要請している。この状況を続けることはできない。

インダストリオールは9月の大会で、ミャンマーに対する包括的経済制裁を要求する非常に強力な決議を採択。多国籍企業と世界的ブランドに、ミャンマーにおける事業の中止、投資の引き揚げ、新規発注の停止、取引関係の中断を要求した。

社会の崩壊が原因で、すでに何百万もの労働者が失業しているが、軍事政権への資金の流れを押さえ込むには包括的制裁が必要だ。

私たちの要求を支持してくれる企業もあれば、まだ議論している企業や無視している企業もある。まだ議論している企業や無視している企業は、自社が雇用の維持によってミャンマー国民を助けていると思っているか、余分の利得を得るために皮肉にもミャンマー国民を搾取している。

1つはっきりさせておこう。国際社会が要求する基準を守ってミャンマーで事業を行うことは不可能だ。この国のどの事業でも、真のデューデリジェンスはあり得ない。したがって、いかなる企業も、自社の事業が人々に損害を与えていないとか、自社が基本的な労働組合権・人権を保障していると言うことはできない。

私たちはミャンマー国民に権力が返還されるまで弛まず進む。この記念日を利用して、改めて正義を要求しなければならない」