フィリピンは国際的な労働権を承認せよ

2023年1月31日

フィリピンへのILOハイレベル三者構成ミッションが、労働組合・労働者組織との5日間の協議・対話を経て終了し、この国で国際的労働権の全面的な承認を確保するために勧告を示した。

2019年以降、インダストリオール加盟組織を含むフィリピンの組合はILOに対し、結社の自由と団結権・団体交渉権に関連する深刻な労働者の権利侵害を調査するために、ハイレベル三者構成ミッションの実施を求めてきた。

ハラスメントその他の形態の暴力に関する感情に訴える証言を盛り込んだ共同組合報告が、対話の冒頭にハイレベルミッションによって正式に受け入れられた。

権利侵害として特に、裁判なしの殺害、国家治安部隊による脅迫・ハラスメント、誘拐、労働組合・労働組合員に対する広範囲にわたる赤札が挙げられる。

2021年3月、ダンディー・ミゲル富士電機労組会長が仕事帰りに見知らぬ男たちに射殺された。

ネクスペリア労組の組合員たちは、13回にわたって現地警察による訪問を受け、所属連合団体からの脱退を強制されている。

「このILOミッションは分裂した労働組合運動の統一への道を開くもので、殺害や違法な拘留、赤札をなくす可能性が大いにある。労働法執行の改善と中核的労働基準(特にILO第87号条約および第98号条約)の遵守によって、労働者が自由に団結できるようになり、我が国で組織化が促進されることも期待している」とルディー・カサナTF2-KD会長は言う。

ミッション終了にあたり、一連の事件が深刻なものであるにもかかわらず、ILO基準適用委員会(CAS)の懸念に効果的に対処するための政策や法的措置がほとんど講じられていないことが強調された。懸念やリスクに対処するために真の政労使協力が必要である。

適正手続きなしで組合運動の一部を反政府活動に関連付ける態度が見られるようになっており、国軍と警察が今なお組合活動や労使関係に干渉している実態が観察された。ILOミッションは、結社の自由に対する脅威からの保護を改善するために政府各部門間の連携や一貫性が高まっていることを考慮して、真の進展のためには大統領主導の行動が不可欠であると勧告した。

今年のILO総会までに政労使パートナーによる共同実施報告を公表すべきだ、とILOミッションは繰り返した。

「フィリピン政府が、労働者の基本的権利の侵害事件を調査する今回の重要なILOミッションを受け入れるまでに3年かかった。フィリピンの労働者と組合は窮状にあり、私たちは今回のミッションを歓迎する。このミッションは侵害にスポットライトを当て、そうすることによって変化をもたらす可能性がある」と岩井伸哉インダストリオール東南アジア地域事務所所長は言う。