グローバル枠組み協定は戦略的手段

2018年11月12日

インダストリオールのグローバル枠組み協定(GFA)作業部会は、11月8~9日にスイス・ジュネーブの国際労働機関で会合を開き、GFAの実施状況について報告するとともに、GFAを強化する方法に検討を加えた。

インダストリオール・グローバルユニオンは現在、49本のグローバル協定を締結している。これらの協定は、労働組合と多国籍企業がグローバル・レベルで取り決めたもので、企業のサプライチェーン全体で労働者の利益を保護するのに役立っている。

すべての大陸と部門から代表が参加しているGFA作業部会は、インダストリオールの提案されているGFAと現行GFAを見直し、書記局と執行委員会にGFAに関する論評や勧告を提供する。

作業部会のクラウディア・ラーマン共同議長は、現地の状況を考慮しながら協定をより積極的に実施するよう求めた。「GFAは労働者の権利の侵害を防止すべきであり、すでに起こった違反の是正策にとどまってはならない」と彼女は述べ、GFAを「多国籍企業の事業活動と経営システムに統合」するよう求めた。

 

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長が、労使にGFA実施に関する訓練を受けさせる必要があり、組合がGFAを監視しなければならないと述べた。

 

会合参加者は、GFAが組織化の支援にどのように利用されているかを詳述し、バングラデシュとトルコで繊維・衣料部門を組織化したり、自動車会社の組合の力を利用して供給部門のキャンペーンを組織したりするにあたって、どうGFAを利用するかに関する事例研究を発表した。チュニジアの例は、ドイツの加盟組織IGメタルの援助により、ある工場で組合つぶしをやめさせ、組合機構を改善するために、GFAがどのように役立っているかを明らかにした。

 

会合では、バズグループを通した労働組合の目標達成におけるGFAの戦略的利用について、突っ込んだ議論を行った。ホスト組合の関与、GFAを通したサプライチェーンの組織化、GFAプロセスにおけるさまざまな活動主体の役割を詳細に検討し、いくつかの結論を引き出した。

 

会合2日目には、国際労働機関(ILO)の当局者が社会的対話におけるGFAの役割について発表し、幅広い討議の口火を切った。主な権利である結社の自由がなければGFAや基本的なILO原則を実施できないことは、誰の目にも明らかだった。

 

GFAがILOの多国籍企業行動指針に概説されるデューデリジェンスに関する強い文言を利用し、すでに政労使レベルで合意された文言として企業に提示することが提案された。作業部会は、強力な合意を得るためにILOのツールやメカニズムを賢明かつ政治的に、よりよく利用する方法について考えることも求められた。

 

会合では、GFAが労働者の権利改善や組織化の実現、紛争解決にどのように利用されているかの事例研究も発表され、化学会社ソルベイ、エネルギー大手トータル、世界的ファッション・ブランドH&M、ドイツ系コングロマリットのシーメンスなどの事例が紹介された。

 

「インダストリオール・グローバルユニオンはグローバル枠組み協定によって政策と慣行に重要な進展をもたらし、この作業部会は重要な役割を果たしている」と作業部会を担当しているケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は述べた。

 

「しかし、特に多国籍企業で現場の組合員の権利と労働条件を促進するというグローバルな使命の達成に関しては、まだまだ先は長い。インダストリオールは、特にグローバル枠組み協定を通して、これからもグローバルな労使関係の発展を擁護していく」