アジア太平洋の組合、貿易協定が組合の要求に応えるよう各国政府に要請

アジア太平洋の組合は地域の各国政府に対し、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)貿易協定案が組合の5大要求に応えるよう確保することを要請した。

組合は、秘密のRCEP交渉が多国籍企業の利益となるように民主的な決定と国家主権を抑えることを懸念している。組合側の要求は以下のとおり。

1. 参加国政府はILO基本条約に従わなければならない。

2. 投資家対国家の紛争解決メカニズム(企業に政府を訴える権利を与えることによって民主主義を脅かす)を撤廃しなければならない。

3. 公的調達と公共サービスはRCEPから除外すべきである。

4. 交渉草案を公開審査にかけるとともに、ステークホルダーとの協議プロセスを実施しなければならない。

5. 各国政府はRCEPの人権インパクト・アセスメントを行い、その調査結果を民主的な議会に提出しなければならない。

RCEPは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)と、中国、日本、韓国、インド、オーストラリアおよびニュージーランドとの自由貿易協定案である。

この協定案は世界最大の経済圏における貿易を統治し、世界人口の半分を対象とする。2019年6月30日にメルボルンで行われた最新の交渉ラウンドにあたって、アジア太平洋の労働組合(インダストリオール・グローバルユニオン、BWI、IUF、UNI、国際家事労働者連盟、ASEANサービス従業員労働組合協議会および各団体の加盟組織)は参加国政府に対し、RCEPが組合の5大要求に応えるよう確保することを共同で要請した。

組合は声明で次のように述べている。

「私たちは地域の労働者数百万人を代表して、この声明により、世界の人口の50%、GDPの30%、輸出の25%を占める地域を対象とするメガ地域貿易協定をめぐり2013年から進行中の秘密交渉に関して、重大な懸念を表明する」

「多国籍企業が貿易協定の利用によって、国家の政策を覆し、労働者と人権を犠牲にして経済的利益を最大化できる有利な事業環境を生み出そうとするようになっている状況は、労働組合と市民社会組織の懸念となっている」

アニー・アドビエント・インダストリオール地域事務所所長はこう述べた。

「うまく交渉された貿易協定は、地域の人々が平和と繁栄を共有できるようにする。だが、協定が資本家だけでなく人民にも利益を与えるようにしなければならない。多国籍企業が民主主義を打倒し、密室で交渉された協定によって公共サービスを弱体化させることは許さない」