台湾の労働者、公正な所得分配を要求

台湾石油労組(TPWU)のチュアン・チュエアン会長は8月12日、台湾政府に対し、最低月給を2万3,100新台湾ドル(744米ドル)から2万8,862新台湾ドル(928米ドル)に引き上げ、労働者に公正な所得分配を保証するよう要求した。

10年に及ぶ実質賃金の停滞は台湾の労働者にとって深刻な懸念事項だ、とチュアンは言う――過去10年間の平均実質賃金増加率はゼロである。大卒の賃金は10年前とまったく同じである。

「企業は労働者と利益を分け合いたがっていない。GDPベースの労働分配率は1992年の51%から2017年には44%に低下した。これとまったく対照的に、資本分配率は着実に増えている」とチュアンは言う。

「賃金を抑えている要因として、そのほかに、台湾で短期雇用とプラットフォーム労働者(ウーバーのドライバーなど)が出現していること、移民労働者数が過去20年間に倍増して70万人に達したことが挙げられる」とチュアンは説明する。

不況が賃金停滞の一因である。台湾の2018年のGDP成長率は2.53%だった。米中貿易戦争がこの島国のサプライチェーンに深刻な影響を与えている折、台湾経済研究所は2019年のGDP成長率を2.12%と予測している。

 

台湾労働省管轄下の最低賃金審査委員会は8月14日に会合を開き、最低賃金の調整を検討する。ヤン・チンロン台湾中央銀行総裁は政府に最低賃金の引き上げを公に促したが、財界首脳は、賃金は生産性と連動させなければならないという理由でこの案に反対している。

 

チュアンは委員会の労働組合代表メンバーとして、最低賃金の調整にあたっては労働者の最低生活水準を保護するという基本方針を守るべきだと言う。

 

「生産性連動賃金は、最低賃金制度の本質を理解していない誤った提案だ」