南アジアの組合、社会的保護、安全衛生、労働者の権利を最優先

2020年9月9日

南アジアのインダストリオール加盟組織は一連の会合で、COVID-19の壊滅的な影響、安全衛生面の課題、労働者の権利に対する新たな攻撃を取り上げた。危機を克服するための対策は、普遍的な社会的保護、労働者の権利の擁護、団結である。

南アジア諸国が長引くCOVID-19ロックダウンと封じ込め措置を経験している中で、加盟組織は、無数の労働者の失業と人員削減の増加を報告した。

多数の不安定労働者が職を失い、ロックダウン中に賃金をまったく支払われなかったり、減額されたりしている労働者も多い。失業の壊滅的な影響は、衣料・繊維、在宅労働、インフォーマル・セクターで顕著に見られ、そのような部門では労働者の大多数が女性である。

効果的な社会的保護が不足しており、地域の労働者や市民は人道危機にさらされている。各国政府が救済措置を発表しているが、多数の人々が救済を受けていない。インダストリオール加盟組織は、資源の結集、現地社会組織との協力、調理済み食品や穀類の配布による救済の提供に関与している。

ロックダウン措置が緩和され、工場が操業を再開するに伴い、労働者が徐々に職場復帰している。ほとんどの職場は物理的距離を保つためのスペースを提供することができず、安全衛生リスクが高まっている。多数の労働者とその家族が日々COVID-19感染のリスクに直面している。

インドでは、無計画の操業停止や生産工程の再開で事故が多発している。

インドでは、多くの州政府がCOVID-19を口実に、労働者の利益に反する労働法変更を発表。スリランカでも、労働法の変更が提案されている。削減・レイオフ規則が守られておらず、地域全体で何百万もの労働者が法律に定める補償を支給されていない。

労働協約が実施されていない。インダストリオールのグローバル枠組み協定の実施は、この期間中、特に衣料・繊維部門で厳しい課題に直面している。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

「COVID-19は前例のない苦難と絶望をもたらしている。政策決定プロセスにおいて組合代表と対話することが極めて重要だ。特にインド、スリランカの労働者の権利に対する攻撃の激化は嘆かわしい。民主的な意思決定プロセスと全レベルの労働者間の団結は、労働者の利益と公平な未来を守るうえで特に重要だ」

「インダストリオールは、加盟組織への連帯支援を強化する戦略的活動に力を入れる。公正な経済・産業政策(普遍的な社会的保護など)を目指して他のグローバル・ユニオンと協調し、職場の安全衛生に対する権利の確保が労働者の基本的権利とみなされるようにしている」

アプールヴァ・カイワール・インダストリオール南アジア地域事務所所長は言う。

「これらのオンラインイベントを利用して、加盟組織に意見を求めるとともに、COVID-19パンデミック下における労働者の権利保護、組合の力の強化、持続可能な貿易・産業政策に関する加盟組織の行動への支援に向けた活動を計画した」

全国組合行動や南アジア戦略計画を議論する一連の会合は、9月1日にスリランカの加盟組織との間で始まり、続く9月2日にはバングラデシュとネパール、その後9月3日、4日にはそれぞれパキスタン、インドの加盟組織と討議した。

写真は2017年11月にスリランカのコロンボで世界中の加盟組合とともに開催されたインダストリオールの集会