ACTガイドラインを通じて、ミャンマーで組合が組織化する権利を獲得

2020年10月20日

新型コロナの世界的感染爆発以降、ACT参加ブランドとインダストリオールは衣料・靴のグローバルサプライチェーンにおける組合つぶしの増加を目の当たりにしてきた。ミャンマーにおける結社の自由の保護と促進のため、インダストリオール、ミャンマーの組合IWFM(製造労組連盟)、ACT参加ブランドは継続的に協働しており、労働者の権利を守るために重要な役割を果たしている。

 共同で取り組むことによって、ミャンマーのサプライヤーと組合の間で数多くの交渉が成功し争議が解決された。透明で誠実な社会対話、交渉当事者の前向きなな関与、国際ブランドからの支援によってミャンマーにおける具体的な事例が積み上げられ、問題解決、労働者の権利の侵害の是正・防止のためにサプライヤーが組合とブランドに向き合えば、建設的労使関係が発展することが明らかになった。

 一例として、ACT参加ブランドのサプライヤーであるKamcaine Manufacturing社における争議解決が挙げられる。同社では7名の組合執行委員を含む57名が解雇されたが、最近、IWFMと交渉を行い解決に至った。もう一つの争議解決の成功事例は、Glory Faxhon社の組合リーダー3名の復職が認められ解雇中の賃金も支払われた件である。

 クラウセン・インダストリオール繊維衣料部門部長は以下の通り述べた。

「組合と直接かかわることをせず、会社主導の監査や行動規範プログラムを使うブランドもあるが、上記はこれに代わるものとして、サプライチェーンの労使関係を発展させるために組合とブランドの取組みの好事例である。」

 ミャンマーでは、サプライチェーンにおける組合とACT参加ブランドの労使関係は強化されているが、透明で建設的交渉に応じないサプライヤーもまだ存在する。その一例は、Yangon Myanmar Fashion社で、労働者の違法解雇に関する交渉及び地方仲裁委員会の決定を拒否している。ACT参加ブランドは、公正な結果に達するようIWFM及びインダストリオールと協力したが、サプライヤーは関与することを拒否した。その結果、最終的手段として、同社から製品を調達しているブランドは各社のゼロ・トレランス(一切許容しない)方針を適用し、労働者の権利侵害は受け入れられないことを行動で示した。

 ミャンマーで結社の自由(FOA)を促進し、労働者とサプライヤーの労使関係を強化するため、ACT参加ブランドとインダストリオールはサプライヤーと組合を支援し、「結社の自由ガイドライン」が策定された。

同ガイドラインは結社の自由に関し起こりうる対立の防止・取り扱いについて支援することを目的としており、ミャンマーの世界レベルの責任ある生産拠点としての地位確立を助けるものである。

 ミャンマーにおける結社の自由に関する活動を強化するために、ACT参加ブランドは結社の自由ガイドラインの遵守を取引の条件とし、202041日から、権利侵害があった場合は、ゼロ・トレランスとすることとした。

 Bestseller社のAndrei Vasiliev責任ある調達社会的インパクト部長は次の通り述べた。

「結社の自由と団体交渉は利益の対立を取り扱い相互尊重と共同責任を達成するための最善の方法である。ACT署名企業は共同の取り組みを継続し、ミャンマーでよりレベルの高い労使関係基準を構築するために組合と使用者と緊密に連携し活動する。」

 ACT参加ブランド、インダストリオール、ミャンマーのIWFMによって大きな進歩を達成したが、同国の結社の自由を保護し、団体交渉を促進し持続可能な責任のある労使関係を確立するためにはまだ多くのことに取り組まなければならない。ACT署名企業は今後もミャンマーにおける活動を継続し、サプライチェーンを注意深く監視する。IWFMおよびインダストリオールと共に、ACTは労働者の権利擁護のために重要な役割を持っている。

 カインザーIWFM会長は次のように述べた。

「結社の自由は労働者の基本的権利であり、場所を問わず、尊重され保証されなければならない。これはミャンマーにおいて持続可能な労使関係に向けたステップであり、すべてのステークホルダーが結社の自由ガイドラインを通じて貢献する。ミャンマーで製品を調達するすべてのブランドがこのガイドラインの利点を理解し早急に参加するよう望む。」