ドイツのサプライチェーン法、議会に提出

2021年4月22日

サプライチェーンのデューデリジェンスに関する法案が4月22日にドイツ連邦議会で第一読会にかけられた。組合は、使用者団体がこの法案を阻止したり骨抜きにしたりしようとすることを懸念している。

ドイツの組合は、ドイツ企業の人権デューデリジェンス義務を強化するために、サプライチェーン法を求めて長年にわたり運動してきた。政府は現在、この法律を可決しようとしている。しかし、ビジネス団体と使用者団体は、この期に及んで、この法律を阻止するか、さらに弱めようとしている。

執行委員会で発言するイェルク・ホフマン

4月22日のインダストリオール・グローバルユニオン執行委員会で、イェルク・ホフマン・インダストリオール会長は次のように述べた。

「私たちは長い闘いの末、労働組合運動の支援を受けて、企業にサプライチェーンの出来事に責任を負わせる法案を達成し、世界貿易をより公正にすることに成功した」

「企業が人権義務を果たさなければ、労働組合とNGOはドイツの裁判所で訴えることができる」

今年2月、法律の草案文面が発表されたが、期待外れの妥協案が盛り込まれていた。例えば、この法律は当初、従業員数3000人超の企業と直接サプライヤーだけに適用されるが、ほとんどの侵害がサプライチェーンの下流で発生している。企業が関連グローバル・ユニオンとのグローバル枠組み協定の締結によって責任を限定できるようにする、セーフハーバー基準に関する条項も盛り込まれなかった。

しかし組合は、この法律は欧州レベルにおけるデューデリジェンス法の促進にも役立つ重要な先例になると歓迎している。

インダストリオール加盟組織IGメタルのウォルフガング・レム執行委員は述べた。

「企業による人権デューデリジェンスに対する任意の約束から、法的規制へのパラダイム・シフトが、もうすぐ実現しそうだ。サプライチェーンにおける人道的な労働条件の達成に近づく重要な一歩をついに踏み出せるようにするために、この法律が必要だ」

組合は、この法律を攻撃から守るとともに、さらに強化することを要求している。既存の原文は最低ラインの妥協案と考えられており、これ以上弱めることは受け入れられない。組合は、いくつかの点で法案を批判している。

この法案は企業に、直接サプライヤーに対する責任しか負わせていない。しかし多くの場合、最も甚だしく人権を侵害しているのはサプライチェーン末端の間接サプライヤーである。

法案は、社内のリスク管理への労働組合や従業員代表委員会の関与を定めていない。サプライチェーンで影響を受けた当事者を代表している組合の関与に関する規定もない。グローバル枠組み協定を社会的対話の肯定的な例として利用し、組合の参加権を強化すべきである。

この法案は人権を考慮する際、サプライヤーの国の国内法にしばしば言及している。しかし国によっては、結社の自由を制限して労働組合活動を防止することが国内法に適合する。

インダストリオール加盟組織IG BCE(ドイツ鉱山化学エネルギー産業労組)のミハエル・バシリアディス会長は、Euractivのインタビューで次のように述べた。

「多くの多国籍企業は、ドイツとヨーロッパで労働者の権利と共同決定を受け入れている。ところが、他国の問題を指摘すると、他国では義務づけられていないので何もしていないと答える。例えばアジアや南米では労働者の権利がまだあまり発達していないので、確かにそのとおりだが、全世界で普遍的な人権を適用すべきだ」

組合は、ドイツに本社を置いていない企業についても、ドイツで大規模に事業を展開している場合は、新しい規制の対象に含めるよう要求している。