アジア太平洋貿易協定で労働者の権利保護を

2023年11月9日

アジア太平洋のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、11月1日にクアラルンプールで地域会合を開き、自由貿易協定で労働者の権利を擁護するための行動を戦略化した。

労働組合指導者は、2018年にメキシコの執行委員会で採択されたアクション・プランに関するコミットメントを再確認した。この計画は、人々のためになる貿易を目指すことに焦点を当てている。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長はこう述べた。「各国政府に対し、貿易交渉において多国間主義に復帰し、強制力のある労働権を盛り込み、秘密交渉をやめ、労働組合を議論に参加させるよう求める。加盟組織の間で貿易に関する情報・経験の交換を広げ、貿易協定の批准前に行動を調整することが重要だ」

参加者は交流セッションで、インダストリオール加盟組織に影響を及ぼす地域・2国間貿易協定の最新情勢について議論した。

労働者の権利を保護する優れた慣行が確認された。例えば、他の労働組合や農民、市民社会組織との連携、持続的なキャンペーンと世論の圧力の構築、他国の労働組合の支援の結集、国際機関のフォーラムの活用である。

アジア太平洋の加盟組織は、加盟組織および地域事務所の間で連携や情報交換を強化するために、貿易・産業政策に関する地域・世界プラットフォームの創出を提案している。

「貿易協定には、労働条項と環境条項を盛り込まなければならない。全日本金属産業労働組合協議会(JCM)は政府に、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインの義務化を要求している。私たちは政府に対し、差別に関するILO条約第111号と労働安全衛生に関する第155号条約の批准も要請している」と平川秀行JCM事務局次長は述べた。

「オーストラリアの貿易協定は、労働基準を弱体化させる役目を果たしている。この協定は、臨時海外労働者を雇う前の労働市場調査の必要性を撤回し、オーストラリアの賃金・労働条件を引き下げた。投資家対国家の紛争解決条項も、政府を訴訟リスクにさらした。だが現労働党政権は、より考え抜かれた貿易協定交渉アプローチを採用している」とオーストラリア鉱業・エネルギー労組(MEU)のトニー・マーハー会長が述べた。

「貿易に関する議論から中国を締め出すことはできない。先進諸国は何十年にもわたって中国を開拓し、組織労働者を弾圧してきたが、その手法は今や行き詰まっている。労働組合運動は政府とは違う考え方をしなければならない。世界貿易体制は、労働者階級のためになる合理的な方法で中国を受け入れなければならない。他の戦争と同じように、貿易戦争も常に労働者階級を犠牲にする」とゴータム・モディー新労働組合イニシアティブ(NTUI)書記長は述べた。

この会合には、オーストラリア、バングラデシュ、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、台湾から30人が直接またはZoomで参加した。