変革期の東南アジアで労働者の権利を守る
2024年7月30日
7月26日、東南アジアの労働組合はインダストリー4.0と人工知能(AI)の影響について議論するために会合を開き、労働の世界が不確実な時代に突入する中、労働者の権利を守ることを誓った。
OECD 雇用アウトルック2023年版 によると、AI によって 1,400 万人の雇用が減少する可能性があり、雇用の4分の1が 変化すると予想されている。製造業や金融業で働く労働者は、特に雇用確保について懸念を抱いている。
企業は生産性向上のためにAIを導入しているが、労働組合の約69%は労働協約にAIの規定を設けていない。労働者のデータを収集するためのAIの利用は、差別を助長し、プライバシーを脅かし、結社の自由を妨害する可能性もある。
インダストリオール・グローバル・ユニオンの松崎寛書記次長は、労働組合が新技術をうまく管理し、労働者のリスクを最小限に抑え、変革から利益を得られるようにする必要性を強調した。同氏は、新技術の導入に関して企業が透明性を確保することの重要性を強く訴えた。
「社会的対話を通じて、労働者は新技術に関する適切な教育を受けるべきである。使用者が単に新技術を導入し、それに追いつけない労働者を解雇することがないように、私たちは事前に交渉しなければならない」と述べた。シンガポールの企業研修委員会は、産業変革を管理する良い例である。」
と松崎氏は付け加えた。
インダストリオールは、2024年11月までにデジタル化、AI、インダストリー4.0に関する政策文書を作成するため、インダストリー4.0専門家グループを設立した。主な原則は以下の通りである:
インダストリー4.0の議論のあらゆるレベルにおいて労働者の全面的参加を要求する、
人権と労働者の権利を保護する。
労働者とその家族のための公正な移行を確保する。
インダストリー4.0に関するインダストリオール・バーチャル地域会議では、オーストラリア、カンボジア、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイの労働組合員40人が、地域の産業変革について意見を交換した。
労働組合として、インダストリー4.0とAIに関連する法律を制定するよう国会議員に働きかけることが提案された。各国政府は、域内の中国製電気自動車工場におけるロボットの広範な使用を規制しなければならない。労働運動家たちは、ロボットによる労働者の置き換えを防止するため、労働協約に包括的な公正な移行(Just Transition)条項を盛り込むよう求めた。
「タイの日系自動車会社では 労働者の割合が80%、ロボットの割合が20%だが、中国の電気自動車工場では労働者の割合が20%しかない。このやり方は労働者の利益にならず、川下の自動車部品サプライヤーに深刻な結果をもたらす。産業政策と労働協約を通じて雇用の安定を守らなければならない」
と、タイ電子・電機機器・自動車・金属労連(TEAM)のウィナイ・ティンタノッド副会長は述べた。
「労働組合は、労働者の権利を守り、適正な労働条件を確保し、持続可能な経済成長を促進するために、こうした技術革新に適応しなければならない。私たちの集団的な未来は、このデジタル化された経済において、すべての労働者の尊厳と生活を守ることにかかっている」と述べた。
と、インダストリオール東南アジア地域所長のラモン・セルテザは述べた。