労働組合が東南アジアの男女賃金格差の是正を推進

2025年7月22日
東南アジアの20人の女性および男性労働組合指導者が、この地域における著しい男女賃金格差の是正に向けた行動を取ることを明確に約束した。
2025年7月10~11日にフィリピンで開催された、インダストリオール/フリードリヒ・エーベルト財団(FES)共催による2日間の賃金平等に関するトレーナー研修では、カンボジア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイから選ばれた組合リーダー、トレーナー、交渉担当者が、男女間の賃金データの取得や男女平等政策のモニタリングにおいて直面している課題について意見交換を行った。
すべての国は同一賃金に関するILO第100号条約を批准し、ジェンダーまたは性に基づく差別を禁止する国内法を有している。しかし、2019-2025ジェンダー平等と女性のエンパワーメント計画、ジェンダーと開発に関する指標、賃金と雇用に関する男女別データを含む包括的な賃金平等を評価する国家政策を有する国はフィリピンだけだ。
カンボジアの労働組合は、賃金差別に関する苦情の処理を労働監督当局に依存している。専用の労働裁判所が存在しないため、執行が不十分だ。インドネシアの労働法には差別禁止条項がないため、当局や企業は男女別賃金データを提供する義務はない。
マレーシアの人的資源省は、賃金格差の縮小に向けたプログラムを開始した。マレーシアでは、類似の業務に就く女性の平均賃金は、男性よりも17.8%低い。興味深いことに、タイの女性は男性よりも平均基本賃金は高いが、ボーナスを含めると総収入は依然として男性よりも低い。この現象は、ボーナス制度が不平等でジェンダーバイアスがあることを示している。
参加者は、ジェンダーに中立的な評価、ジェンダー賃金格差報告書の作成、職務評価に使用される用語、ジェンダー賃金平等を計算する式など、ジェンダー賃金の原則の統合についてより深く理解できたことに感謝の意を表した。
参加者は、地域における性別賃金格差を是正するための行動計画を策定した:
- ジェンダー賃金平等モジュールを開発し、全国レベルの研修を実施する
- キャンペーンや広範なリーフレット配布を通じて、ジェンダー賃金平等に関する意識を高める
- 賃金平等に関するフォーカスグループディスカッションを行う女性委員会を組織する
- 男女別の賃金データを収集する
- 男・女間の賃金分析を準備する
- 労働協約交渉担当者を対象とした賃金平等研修を実施する
- 労働協約案に賃金平等に関する提案を盛り込む
フィリピン上院議員のリサ・ポンティベロス氏は、次のように述べている。
「私は、政策は、インフォーマル、不安定な状況にある女性労働者など、最も弱い立場にある人々を支援すべきだと常に信じている。その信念が、上院での私の仕事に影響を与え、包摂的でジェンダーに配慮した法律の制定に向けた闘いを導いてきた。女性労働者が力をつけ、尊敬され、真にふさわしい賃金を得られるよう、一緒に努力しよう」
インダストリオール東南アジア地域事務所長のラモン・セルテサ氏は、次のように述べている。
「東南アジアの労働組合は、男女間の賃金格差の解消において中心的な役割を果たす。その鍵は、賃金の平等の実現を推進し、包摂的な団体交渉を擁護し、職場における男女平等について使用者に説明責任を果たさせる、組織化と活動にある。私たちは、その道筋に沿って取り組み、この地域における加盟組織の理解と能力の向上に努めることを目指し、約束する。これは、あらゆる職場における賃金平等実現に向けた大胆な一歩となるだろう。」