アジア太平洋地域における繊維衣料部門の会議で方向性を示す

7月1日、マレーシア・クアラルンプールにインダストリオールの繊維、衣料、靴、皮革産業(TGSL)の代表者65名が、アジア太平洋地域部門会議に集った。

組合は、サプライチェーンにおける労働者の権利の保護、組合内の女性リーダーの育成、H&M、Inditex、Tchibo、ASOSとのグローバル枠組み協定の効果的な実施などの問題に取り組んでいる。

参加者はまた、生活賃金に関するACTの取り組み、バングラデシュ・アコード、ILOの苦情申し立てメカニズム、OECDデュー・ディリジェンス・ガイドラインなどの国際的な手段を活用する方法を検討した。

インダストリオール、TGSL部門の郷野晶子共同議長は次のように述べた。
「TGSL部門の労働者は多くの課題に直面している。何百万人もの女性労働者が厳しい労働条件に直面し、低賃金で働いている。労働者に適切な賃金を支払わない企業は存在する権利がない。労働組合はまた、インダストリー4.0による技術革新から生じる課題に直面する準備をしなければならない。」

インダストリオールはTGSL部門のアチット・コン共同議長は次のように述べた。「我々は、GFA、バングラデシュ・アコード、ACTなど、労働者の生活を改善するために使用できる非常に重要な国際的な手段を持っている。しかし、私たちはこれらの手段を国レベルで実施する上で大きな課題に直面している。労働者に変化をもたらすために現場の組合の力を構築し、国際的な手段を効果的に実施する方法を見つけるためにもっと努力する必要がある。」

インダストリオールのジェニー・ホールドクロフト書記次長は、労働者の権利を守るための国際的な手段を構築するためのインダストリオールのイニシアチブの概要を説明し、「アコードとACTはグローバルサプライチェーンにおける新しい基準を設定している。ハーグのPCAでグローバルブランドに対して提訴された2件の判決は、労働組合運動の歴史的勝利である。法的拘束力のある合意によって、多国籍企業の責任を問うことが可能となる。 インダストリオールグローバル協定であるACTは業界全体の団体交渉を促進し、多国籍企業の購買慣行をサプライチェーンの労働者の給与および労働条件につながる。重要なことは、結社の自由を促進し、より多くの労働者の保護が強化されることである。我々は大きな進歩を遂げたが、これらのツールを実際に行使する際に大きな課題に対処する必要がある。我々は、組合の構造を強化し、これらの国際的な手段を効果的に使用する能力を開発する必要がある。組合間の競争を排除し、団結する必要がある。我々は、工場レベルの労働組合とリーダー間のギャップを減らし、より多くの女性と若者を労働組合に取り込む必要がある」

会議では、H&Mの代表者から持続可能性とステークホルダーの関与に関するプレゼンテーションが行われ、そのほか、GFAを締結するInditexとTchiboはグローバルサプライチェーンにおいて労働組合と協力し、労使関係を改善するという決意を強調するプレゼンテーションを行った。

インダストリオール南アジア、東南アジアの地域代表及びインド、バングラデシュ、スリランカ、カンボジア、ミャンマー、フィリピンの加盟組合は、それぞれの国の女性労働者の状況や、賃金・社会保障・労働条件・組合における女性の代表性の改善のための取り組みについて報告した。

この会議では、若年労働者が直面する課題についても検討した。若手組合運動家は、不安定労働、低賃金、労働組合についての青年の理解不足やネガティブなイメージ、長時間労働、組合組織における若者のチャンスの欠如、生活スタイルの問題など青年に影響を与える問題への取り組みにさらに努力するよう要請した。

青年代表は、革新的な教育とエンパワーメント戦略、組合参加意識を高めるためのソーシャルメディアの効果的な活用、青年の参加を促進するためのスポーツや文化イベントの開催を要請した。

会議に出席したインダストリオールのヴァルター・サンチェス書記長は次のように述べた。
「労働者の権利が保護され、適正な賃金を受け取れるようにすることが我々の任務である。我々は、アジア太平洋地域において経営者寄りの政府のアプローチによってもたらされた大きな挑戦に直面している。彼らは、雇用を創出する唯一の方法は安い労働を提供し、労働者の権利が認められない経済特区を作ることだと信じているようだ。労働者の権利は毎日侵害され、労働者は解雇され、迫害されている。政府は、ブランドの経済的影響と略奪的調達の実践を恐れている。我々は、労働組合を強化し、これらの課題に立ち向かうために、インダストリオールのGFAとACTを含む国際的な手段を戦略的に活用する必要がある。」