ACTブランド、購買慣行の説明責任に関する枠組みを採択

2019年10月14日

2019年9月、ACTは、最低賃金の支払いを推進する購買慣行が確実に行われるため、加盟ブランド共同のデュー・ディリジェンス*枠組みを採択した。これは、国際的なブランドが国際労働組合組織に対し、購買慣行の変革について説明責任を負うことを初めて共同で合意したものである。

ACT(Action, Collaboration, Transformation)は国際的なブランド・小売業者と労働組合が衣料・繊維・製靴業界を転換し、購買慣行に関連する産業レベルでの団体交渉を通じ、労働者の生活賃金を獲得するための画期的な協定である。

サプライヤー、労働組合、有識者との包括的な協議に基づいて、ACTはすべての加盟ブランドによる国際的な取り組みに合意した。これは、交渉によって定められた賃上げや労働条件の改善をサプライヤーが実施するために不可欠な5つの分野において、ブランドの購買慣行を変えるための取り組みである。

その一つが、購買価格を交渉する際のコスト計算にすべての直接・間接的労働コストを含む労働コストプロトコルの採択である。同プロトコルでは具体的に、ブランドは情報が入り次第、予測される賃上げに沿って労働力のコストを計算すること、また、生地費、エネルギー費などその他の投入原価が変わらない場合、購買価格の上昇を通じて賃上げがカバーされることと定めている。

 全面的な実施に向けた取り組みの進展は年に1度、どのブランドがインダストリオールに説明責任を果たしているか、包括的かつ透明性のある方法で検証される。

 ジェニー・ホルドクロフト・インダストリオール書記次長は、「ACTによる説明責任と監査の枠組みは、ブランドが国際的なデュー・ディリジェンスに必要な条件を満たし、責任ある購買慣行について産業のリーダーとなるツールだ」と述べている。

 そして、サプライヤーが自信を持って、賃金と労働条件を改善する産業別協約を労働組合との間で結ぶための基盤となる。このような保証がなければ、サプライヤーは決して追加コストを負うことに合意しないことは経験上示されている。インダストリオール・グローバルユニオンは、衣料産業のほかのすべてのブランドがACTに参加し、産業の社会的・経済的な向上を支える同様の取り組みを行うよう求める。」

* 訳注:連合「多国籍企業の社会的責任と国際ルール」から抜粋

「人権デュー・ディリジェンスとは、人権侵害が実際に起きていないかチェックするとともに、潜在的な影響についても特定し、それを回避・軽減するために手立てを講じること」