プロフィール:日本の支援でブータン人の組合を結成

2019年11月15日

JCM傘下のJAMの援助と連帯支援を受けて、今年9月1日に松山でブータン国際労働組合(ILUB)が設立された。

組合:  ブータン国際労働組合(ILUB

国:      日本

文:      Yap Hwa NG

 700人の若いブータン人学生がブータンの悪徳就職斡旋業者に誘われ、日本語学校に通いながらパートタイムで働いて110万ニュルタム(1万5,500米ドル)を稼げると期待して日本にやってきた。

日本は2020年までに留学生を30万人増やすという意欲的な政策を実施している。この学び・稼ぐプログラムは、ブータン労働省に任命された認可エージェントのブータン海外雇用(BEO)が、日本のブローカーと連携して担当している。

しかし、ブータンの腐敗防止委員会は2018年12月、BEOは重要書類を提出せずに不法に登録証明書を受け取ったという申し立てを受けて、政府にBEOの免許取り消しを強く勧めた。加えて、日本のBEO代表はブータン労働省の認定を受けていなかった。

ブータン政府は金利8%で70万ニュルタム(9,800米ドル)の融資を提供したが、エージェント手数料13万ニュルタム(1,840米ドル)と日本語学校の授業料を払うと、ブータン人学生の手元にはほとんど残らない。

日本語が十分に話せないため、ブータン人学生が就ける仕事は限られていた。多くの学生が倉庫や工場で深夜のシフトに従事することになった。学生たちは週28時間を超えて働くことができず、時給9米ドルの低賃金であるため、少なからぬ学生が不法就労を余儀なくされた。

そのプレッシャーは途方もなく大きく、2018年に1人の若い学生が自殺した。

「助けを求める学生たちから電話が入り始めたとき、苦況を克服しようとする彼らの勇気に感動した。7月29日に学生たちとの会談を設定し、日本の当局に労働組合を登録できるよう手助けした」と安河内賢弘JAM会長は言う。

JAMからの支援がきっかけで、ブータン人学生は、異国で自分たちの権利を守るために労働組合の設立を決めた。

「日本有数の組合である連合およびJAMと知り合いになるまで、労働組合のことは知らなかった。労働組合の登録手続きは複雑で、JAMは事細かに指導して助けてくれた」とシャルマ・ロビンILUB副会長は言う。

「JAMに心から感謝したい。多くの若いブータン人がだまされて借金を背負わされた。私たちはILUBとして、弱い立場にある人々や低熟練労働者の権利を保護するために強く働きかける。若い仲間たちのために安定した適正な雇用を見つけ、適正な普通の生活を始められるよう懸命に努力する」とジャガナート・コイララILUB会長は言う。

労働者不足に取り組むために日本政府が採択した政策が問題の一因であり、留学生が不安定雇用に追い込まれ、自活できるだけの収入を得られなくなっている。これらの学生は移民労働者の地位さえないため、社会的支援がほとんどない。

安河内会長は、前途に待ち受ける課題について説明し、ブータン人学生が直面している問題に取り組むためにJAMは包括的なアクション・プランを立てていると言う。

JAMはILUBと連携し、ブローカーが徴収した不当な手数料と日本語学校への入学金の返還を求めて運動することにしている。JAMは企業に学生の労働条件改善も要求していく。

そしてJAMは、ILUBがブータンに支部を設立するとともに、日本で労働供給事業を行う許可を得られるよう支援する。この措置によって仲介業者が排除され、搾取がなくなる。

「ブータンの若者は極めて有能で、ちょうど日本の労働運動が生まれたときのように意欲的で理想に燃えている。これはブータン人が創設した最初の労働組合だ。この組合を育て、成長を支援していかなければならない。彼らの夢を実現させるために最善を尽くす」と安河内会長は言う。