安全衛生を労働における基本的原則および権利に
2022年3月14日
2022年3月14日に第344回国際労働機関(ILO)理事会が開幕し、グローバル・ユニオンは、1998年の労働における基本的原則および権利に関する宣言の修正によって、労働安全衛生を労働における基本的原則および権利とみなすことを要求している。
この修正により、同宣言が現在承認している4つの労働における基本的原則および権利(結社の自由と団結権・団体交渉権、強制労働の禁止、児童労働の禁止、雇用差別の撤廃)に、労働安全衛生が加わるだろう。
理事会は年3回(3月、6月、11月)開催される。ILO政策に関する決定を下し、ILO総会の議題を決め、総会に提出する組織のプログラム・予算案を採択し、事務局長を選出する。
グローバル・ユニオンによる要求は、仕事の未来に関する2019年のILO創設100周年記念宣言と、労働安全衛生を労働における基本的原則および権利に加えるためのグローバル・キャンペーンに沿っている。2019年6月、国連の専門家はILOに対し、安全で健康的な労働条件を直ちに労働における基本的原則および権利の1つとして承認・採択するよう要請した。仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言に関する決議のフォローアップは、労働における基本的原則および権利のILO枠組みに安全で健康的な労働条件を追加することなど、いくつかの案を要求した。
2021年9月27日に発表された初のWHO/ILO共同監視報告によると、業務上の傷病により毎年少なくとも190万人の労働者が死亡している。しかし、報告に含まれていないリスク要因による死亡原因を追加し、データの不十分な記録による情報不足を埋めると、死者300万人という驚くべき数字に近づく。
「労働安全衛生は、交渉すべき特典でも求めるべき恩恵でもない。それは権利だ」とインダストリオール鉱業担当部長で労働安全衛生主任のグレン・ムプファンは述べた。
「賃金に健康や命と同じ価値はない。健康や命は、いったん失われてしまったら、仲裁人もそれらを取り戻す救済を与えることはできない」
グローバル・ユニオンは2021年11月のILO理事会で、これを達成するために2022年ILO総会の議題に、1998年の労働における基本的原則および権利に関するILO宣言の修正を盛り込むという合意をようやく取り付けた。
この業績を背景に、勢いを維持して、ILO理事会が労働安全衛生に関して労働者が必要とする決定を下すようにするために、インダストリオール・グローバルユニオンは5000万人を超える組合員と加盟組織に対し、政府・使用者に次の措置を求めるITUC(国際労働組合総連合)の要求を広げるよう求める。
- 労働安全衛生に関する第155号条約は、政府が行う必要のあることを定めた主な条約であるため、労働における基本的権利に指定すること。
- 職業衛生機関に関するILO第161号条約を補足的な労働における基本的権利に指定すること。職業衛生機関に関するILO第161号条約は各国政府に、労働者が職場において、または公的医療制度を通して、職業衛生機関を利用できるようにすることを要求している。
- 安全衛生を最大限に広く解釈できるようにするために、各国政府に対し、労働における基本的原則および権利の基準として「労働環境」という用語を支持するよう促すこと。
- 貿易協定で労働安全衛生基準をめぐる国際競争が生じないようにすること。
「国連ビジネスと人権に関する指導原則には、労働者の安全衛生を保護する義務・責任が盛り込まれている。国連の決議は健康的で持続可能な環境へのアクセスを普遍的な権利として認めているので、次の歴史的瞬間は理事会が正しい決定を下すことだ」と松﨑寛インダストリオール書記次長は述べた。