EUはミャンマー軍との特恵貿易協定を撤回せよ

2022年7月13日

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は欧州連合に、ミャンマーの軍事政権に対して、武器以外すべて(EBA)貿易特恵の撤回など、より強力な処置を取るよう求めている。

EUのEBA貿易制度は、EU一般関税特恵制度(GSP)自体の規則を露骨に無視して、ミャンマーに有益な貿易関税を提供している。同規則は、受益国は人権・労働権に関する15本の中核的条約の原則を尊重しなければならない、と定めている。

ミャンマーでは、ほとんどの労働組合が禁止され、組合指導者は逮捕されたり身を隠したりしている。EBAが促進する雇用は、基本的な労働基準を尊重するディーセントな雇用では決してない。インダストリオール加盟組織のミャンマー製造労働者連盟(IWFM)は、この状況を現代の奴隷制になぞらえている。残念ながら、このような状況下では、真の人権デュー・ディリジェンスは絶対に不可能である。

驚くことに、政権は先月、政敵を処刑する意向を発表した。EUはEBA協定を維持することによって、欧州企業が著しい人権侵害から利益を得るとともに、欧州市民がミャンマーでこのようなひどい条件下において製造された製品を買うことによって、はからずも政権を支援しかねない状況を生み出している。

「ミャンマーでは、多国籍企業とブランド(EU系の有名ファッションブランド61社を含む)が、GSP/EBA規則に盛り込まれた国連条約とILO条約に甚だしく違反しており、これには十分な裏付けがある」とカイン・ザーIWFM会長は言う。

「条約の尊重はEBA維持の条件であり、EUは労働者の権利に関して迅速かつ効果的に対応する必要がある」

衣料産業は依然、政権にとって不可欠な外貨獲得手段である。インダストリオールのキャンペーンは、ブランドにミャンマーでの生産中止を要求し、ウクライナ侵攻後にロシアから即時撤退していながら、ミャンマーでは事業を続けているという矛盾を指摘している。

2021年2月のクーデター以降、ミャンマーが悲惨な人権状況にあるにもかかわらず、ほとんどの衣料ブランドが同国からの調達を続けており、これは多くの場合、自社の行動規範に違反していると思われる。ブランド各社は、自社の存在は軍に利益を与えておらず、雇用を提供していると主張しているが、政権に税金の形で重要な外貨や収入を提供している。

「軍事政権によって統治される国にディーセント・ワークはなく、組合は活動できない」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「人民と労働者に害を与えることなくミャンマーで営業する方法はない。私たちは欧州連合に対し、ミャンマーとのEBA協定を即時停止するよう促している」

リック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長が付け加えた。

「ミャンマーの衣料労働者からEUへのメッセージは明確だ。行動を起こし、EBA協定を停止し、恐ろしい軍事政権への不可欠な資金を断ち切らなければならない。EUが責任を持って行動し、今すぐ行動を起こすことを期待する」