労働者の権利侵害の激化を阻止するために新しい社会契約が必要

2022年6月30日

2022年のITUC世界労働権利指数は、スト権、組合結成・加入権、組合登録権、団体交渉権など、労働者の基本的権利の衝撃的な侵害に対して警鐘を鳴らしている。正義を求める権利や言論・集会の自由も与えられていない。国によっては、労働者が国内法と国際労働基準に定める労働者保護を受けていない。

「新しい社会契約で信頼回復」をテーマに6月28日にオンラインで発表されたITUC指数は、148カ国の年次調査である。

この指数は調査結果に基づいて、労働組合は、労働組合員の殺害、暴力的な攻撃、独断的な逮捕、拘留に見られるように、使用者と政府による労働者の基本的権利に対する弾圧と闘わなければならないと強調している。人権と市民の自由も侵害されている。

ITUC指数によれば、13カ国で労働組合員が殺害された。すなわち、バングラデシュ、コロンビア、エクアドル、エスワティニ、グアテマラ、ハイチ、インド、イラク、イタリア、レソト、ミャンマー、フィリピン、南アフリカである。

さらに、69カ国でハラスメント、独断的な逮捕、拘留があり、カンボジア、香港、ミャンマーで最悪の事例が報告された。

中東・北部アフリカで最悪の労働者の権利侵害が発生し、紛争とクーデターで労働者を取り巻く条件が悪化した。

さらに、アフリカでは司法アクセスの制限も強まっており、報告発生率が2021年の76%から2022年には95%に上昇した。

指数で確認された労働者にとって世界最悪の10カ国は、バングラデシュ、ベラルーシ、ブラジル、コロンビア、エジプト、エスワティニ、グアテマラ、ミャンマー、フィリピン、トルコである。

これらの国々は労働組合に敵意を示しており、退行的・抑圧的な刑法の利用、組合結成の妨害、組合閉鎖の強制、組合指導者の独断的な大量逮捕、組合差別的な措置、組合つぶしや組合指導者の不当解雇、労働協約の違反、殺害と刑事免責、スト参加者の起訴、集会の自由の侵害、警察の暴行、ストや抗議の残虐な国家弾圧が見られる。

何人かの発言者が、ITUC指数で確認された国々で起こっている状況を順序立てて述べた。

ミャンマーのマウン・マウンは、労働組合員が殺害、逮捕、投獄されたり、嫌がらせを受けたりしているにもかかわらず、「革命が持続している」と述べた。しかし、組合指導部のほとんどが身を隠したり亡命したりしている。

「ブラジル政府は労働組合に敵対的で、労働者の権利が退行しており、特に黒人女性労働者の権利が毎日無制限に侵害されている」とローザ・スザ・フェルナンデスが述べた。

マクシム・パズニアコウが次のように述べた。

「ベラルーシでは先例のない抑圧的な施策が実施され、組合指導者が捏造された容疑をかけられている。さらに、検察官は独立労働組合を禁止したがっている」

「労働組合と労働者を含む抗議者に対する敵意がある。国家治安部隊が抗議者を追い払うために実弾を利用した際、労働者が死亡した」とエスワティニのムドゥドゥジ・ジーナが述べた。

「圧制的な政府と虐待的な企業によって損なわれた信頼を取り戻すには、雇用と権利、社会的保護、公正賃金、平等、包摂による新しい社会契約が必要だ。社会契約が引き裂かれてしまった。だが、力を合わせて新しい社会契約を作ることができる」とシャラン・バロウITUC書記長は述べた。

新しい社会契約は不安定雇用、雇用創出、公正な移行に取り組まなければならない、と彼女は述べた。さらに、社会契約は大きな不平等、気候非常事態、COVID-19後の景気後退の解決策を見つけなければならない。

「インダストリオール・グローバルユニオンはITUC世界労働権利指数を歓迎する。この指数は、ミャンマーにおける人権および労働者の権利の著しい侵害、ベラルーシにおける労働組合指導者の独断的な逮捕と拘束、バングラデシュとエスワティニにおけるスト中の労働者に対する暴力の行使に反対する私たちのキャンペーンを正確に映し出している」

「労働者を取り巻く状況が多くの国で悪化しているのを目にするのは悲劇的だ。組合は断固反撃しなければならない。インダストリオールは、奪われた権利を取り戻して新しい権利を獲得するために、加盟組織を支持していく」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

ITUC世界労働権利指数には97の指標があり、ILOの労働における基本的権利、特に第87号条約(結社の自由と団結権保護)と第98号条約(団結権・団体交渉権)、それに国際人権法に由来する。今回の報告対象期間は2021年3月から2022年4月まで。