ウクライナの組合、権利侵害との闘いを開始

2023年2月13日

ロシアによる侵攻から1年になろうとする中で、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は2月9日にウクライナの加盟組織と会合を開き、同国における人権と労働者の権利の侵害について議論した。

ILOと国連ウクライナ人権監視団(HRMMU)の代表が、主要な権利侵害、侵害の発見・報告方法、それらの手段の使い方について発表した。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が述べた。

「この会合の目的は、人権・労働権侵害について議論し、どのように侵害が加えられているかを理解するとともに、ウクライナの同志を支援・援助するように今後の戦略を練り上げることだ」

ウクライナの加盟組織は、戦争が失業をもたらし、産業を破壊している現状について報告した。参加者は、強制労働(例えば原子力部門)、鉱山の危険な安全衛生基準、占領地域の組合員の困難に関する話を聞いた。組合員の状況を把握したり、社会的対話を行ったりすることが難しいとの報告があった。

ウクライナ独立鉱山労組(NPGU)のナタリー・レビツカは言う。

「鉱山が破壊され、数千人の労働者が失業した。労働者の権利の再構築と保護について考える必要がある。」

「ウクライナの組合が相互に連帯していることを称賛する。戦争が始まってからずっと、皆さんは団結して労働者のために闘ってきた。会合中に砲撃されることもたびたびありながら、それでも活動を続けた。私たちは可能な限り皆さんを支援していく。皆さんは独立国家として最終的に勝利を収め、国民のために正当な環境を作ることだろう」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。

ILOが労働者の権利侵害とその発見方法について発表し、報告の重要性を強調した。ILO条約は非常に明確であり、どの項目とであれ矛盾していれば、それは侵害である。報告を利用して加害者に対して訴えを提起することができ、違反に取り組む際に証拠となる。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のリュック・トライアングル書記長が、加盟組織をインダストリオール・ヨーロッパ労働組合に迎え入れ、ウクライナのEU加盟申請を歓迎した。同書記長は、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合として、EU加盟プロセスを支援するためだけでなく、EU機関とともに問題を提起するなどしてウクライナの労働法の後退との闘いに貢献するためにも、全力を尽くすことを誓約した。

「私たちとヨーロッパの労働者全員は、ウクライナの人々を最大限に尊重している。共有された民主主義と人間の価値のために闘っている。皆さんを支持しており、インダストリオール・グローバルユニオンとともに支援していく。今後数カ月間に、ウクライナの加盟組織は私たちの欧州レベルの労働組合活動に統合される。これにより、さらに結束が固まる」とリュックは述べた。

国連人権監視団は、人権侵害に関する報告書の作成に取り組んでいる。報告書は、被害者や目撃者への内密のインタビューによって作成されている。労働組合は組合員に経験を共有させることによって、そのような報告書の作成を大いに支援することができる。

インダストリオール・グローバルユニオンおよびインダストリオール・ヨーロッパ労働組合とウクライナの加盟組織との共同作業における今後の措置は、違反に対する認識の向上、違反の報告方法、組合員の権利を保護する方法などである。