EU-タイ自由貿易協定交渉で第87号・第98号条約を中心的議題に

2024年12月3日

タイの労働組合員はEUとタイ政府に対し、労働権を守るためにILO第87号条約および第98号条約をEU-タイ自由貿易協定に盛り込むよう求めた。

ILO第87号・第98号条約推進ネットワークは11月27日、バンコクでEU代表に覚書を提出し、300人を超える労働組合員が参加、団結権と団体交渉権に関する条約導入の緊急性を強調した。人民党所属の下院議員でタイ繊維・衣料・皮革労連(TWFT)の元会長Sia Jampathongも、この覚書の提出に加わった。

ネットワーク・コーディネーターを務めるプラシット・プラソップスック・タイ産業労働組合総連合(CILT)会長が、タイの労働者は何十年も団結権・団体交渉権を与えられておらず、これは職場で労働搾取と不公正を招いていると述べた。

「労使関係法とILO第87号条約および第98号条約との不一致が、制限的な法律・慣行と相まって労働者の交渉力を弱め、不公平な賃金、不十分な給付、劣悪な労働条件をもたらしている」

使用者は法律の抜け穴を利用して、労働組合員を威嚇するために頻繁に訴訟を起こしている。2015年から現在までに、1371人の労働組合員が使用者に訴えられた。

「タイの労働者が今なお団結して団体交渉を行うことができないとしたら、結果として生じる貿易・投資は必然的に、タイで抑圧や搾取、労働権侵害を永続させるための仕組みになってしまう」とプラシット・プラソップスックは述べた。

ラモン・セルテーザ・インダストリオール東南アジア地域事務所所長が、4050万人強の労働者のわずか1.3%しか組合に加入していないタイの不安定な組織化状況を強調した。現地労働者・移民労働者両方の大多数が適切に保護されていない。

「タイの組合組織率は他の東南アジア諸国と比較して低いだけでなく、ヨーロッパの基準にも遠く及ばない。タイ政府は、この状況に取り組むために、ILO第87号条約および第98号条約の批准をはじめ、意味のある措置を取らなければならない」とラモン・セルテーザは述べた。

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、4月のEU委員会への共同書簡でEUに対し、タイ政府とEUの貿易交渉で団結権と団体交渉を定める労働条項を取り上げるよう要求し、特にILO第87号条約および第98号条約批准の公約を政府に求めた。

「欧州連合はタイとの貿易交渉の影響力を利用して、タイで労働者の基本的労働権を改善しなければならない。貿易と持続可能な開発に関する強力な章(中核的ILO条約を含む)のない自由貿易協定の締結は、まったく受け入れがたい。だが、他のASEAN諸国との経験によれば、それでもまだ不十分だろう。現場で具体的な変革をもたらし、これが単なる紙の上での約束ではなく、欧州連合が支持すると主張している価値を本当に提供するようにする必要がある」とインダストリオール・ヨーロッパ労働組合のジュディス・カートン=ダーリング書記長は述べた。