ウクライナの組合、反労働者的な労働法改革に反対
ウクライナの組合は1月15日にキエフで組合員を動員し、組合との事前協議なしで議会に提出された新しい労働法案に反対する「ストップ労働奴隷制」抗議行動を実施した。
この最新の法案第2708号は、昨年12月に提出された他の法案とともに、使用者の利益を保護するばかりで、労働者から権利や社会的保証を奪う内容となっている。この法案が採択されれば、企業レベルの組合委員会が廃止され、労働者を保護する組合の能力が弱まり、最終的にウクライナで労働組合が排除されることになるだろう。
労働法案見直しの日、1,000人近い組合員が議会社会政策委員会のビルでピケを張った。この法案は、ウクライナ憲法を含む国内法ならびに中核的国際労働基準(ILO第87号、第131号および第98号条約など)に反している。
法案は99の条項から成り、すべての労使関係の規制を意図している。今回の法案と2019年12月に議会に提出された以前の法案は、どちらも反労働者的な法規定にあふれており、例えば次のようなものが挙げられる。すなわち、現在の上限8時間に代えて1日12時間労働を設定できるようにする、残業手当を削減し、現在の賃金倍額払いの代わりに120%の割増賃金を導入できるようにする、妊娠女性や出産休暇取得中の女性も含めて、使用者の裁量でより容易に解雇できる機会を広げる、危険な産業で雇用される労働者や多くの子どもを持つ親、障害児の母親の追加的休暇を廃止する、弱い立場にある従業員の社会的保証をなくす、といった規定である。
1月16日、ウクライナの労働組合員700万人を代表する地方組合6万団体の指導者と代表がキエフに集まり、労働者の憲法上の権利と労働権、社会経済権および組合を保護するために全ウクライナ労働組合協議会が実施した行動に参加した。この行事には大統領と首相も招待されたが、いずれも出席しなかった。
同協議会は、次のような組合の要求を掲げた決議を採択した。
- 国家当局は労働法案第2708号を即時撤回し、ILO専門家に労働・労働組合・社会保障に関する新しい法案の検討を求めること。
- 政府は国内法と国際法を完全に遵守し、政労使の社会的対話を通して公正な労働法改革を開始すること。
- 以前に議会に提出され、すでにILOによって検討された2本の法案(第2410号および第2410-1号)に基づいて、ウクライナの労働法を採択すること。
決議採択後、参加者は大統領府、議会および政府庁舎に向かって行進し、決議のコピーを手渡した。
ワレリー・マトフ・インダストリオール・グローバルユニオン執行委員兼Atomprofspilka会長は次のように述べた。
「協議会は国家当局に組合決議を提出した。労働法案を撤回し、労働法改革に関する真の社会的対話に入るよう要求する。さもなければ、組合は1月30日にウクライナ全国で抗議行動を実施する」
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。
「私たちは加盟組織と全国組合、世界的組合とともに、ウクライナにおける組合との適切な協議抜きの労働法改革に強く反対する。ウクライナ議会に労働法案第2708号の即時撤回を要請するとともに、ウクライナ政府に対し、国内・国際労働法とウクライナが批准済みの条約を徹底遵守して労働法を採択するために、労使代表との政労使交渉を開始するよう求める」