新型コロナ拡大期における女性の権利保護

2020年4月9日

根強い男女不平等が原因で、女性は今回のパンデミックが経済に及ぼすと予想される影響をより強く受けるだろう。政労使はジェンダーに対応したアプローチを策定し、社会的不平等と男女不平等の再生産や深刻化を回避しなければならない。

女性労働者の安全衛生保護

使用者に対し、従業員のために必要な安全衛生保護措置を取るよう強く要求する

政府に対し、雇用形態にかかわらず全労働者について、有給病気休暇を取得する権利と無償で医療を利用する権利を法制化するよう強く要求する

Covid-19から労働者を保護するための措置を定める全レベルの安全衛生委員会その他の機関への女性参画を確保する

危機の間、妊娠中の女性労働者の具体的な保護を強く要求する

政府に対し、リプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセスを維持し、これらの救命サービスに割り当てられた資源を流用しないよう促す

インドネシアではGARTEKSとSPNが、労働者の大多数が女性である被服縫製工場の一時閉鎖を求めて闘っている。

モロッコではUMTが、ケーブル工場で輪番制を拡大して現場の労働者数を減らすと同時に、マスクや手袋、消毒薬を支給する措置をめぐって交渉した。

日本では連合が、妊娠中の女性労働者が公共交通機関のラッシュアワーを避けられるようにテレワークや時差通勤を促進している。

TUCは使用者に、Covid-19拡大期における妊娠女性の保護、妊娠女性のリスク曝露予防・回避措置、同じ報酬の他の雇用への配置転換、それができない場合は労働条件の調整や賃金全額支給による在宅勤務・休暇を導入する義務があることを改めて強調している。

現下のパンデミックは、性と生殖に関する医療サービスへのアクセスを混乱させている。UNFPAは、出産前後の死亡率の激増を避けるために、これらのサービスの維持を要求している。

CGTは、Covid-19拡大期に女性が性と生殖に関する医療サービスを利用する機会がますます制限されることを懸念して、この危機の間に避妊を利用できるようにして母子の死亡を防止するための国際的行動を求めた。

女性に対する暴力との闘い

 政府に第190号条約の批准を働きかける

家庭内暴力など、あらゆる形態のジェンダーに基づく暴力とハラスメントを非難し、家庭内暴力の被害者向けホットラインの番号を公表して周知させる

Covid-19危機の間も、職場における暴力とハラスメントに対抗する方針や措置の導入・実施を確保する

政府に対し、家庭内暴力の防止と被害者の保護に割り当てられる資源を増やし、シェルターを維持し、必要であれば能力を増強するよう促す

国連は、パンデミックによる在宅で家庭内暴力が増えている現状を非難している。家庭内暴力の被害者(主に女性)は、虐待者と一緒に閉じ込められている状態にある。

ウルグアイでは、組合がウェブサイトやソーシャルメディアで「女性に対する暴力は巻き添え被害ではない! あなたは1人ではない!」という強いメッセージを送り、被害者向けホットラインの番号を宣伝している。

イタリアではCGILとUILが協力して、Covid-19危機の間とその後の期間における特別措置の導入を促進した。例えば、ホットラインの番号を宣伝したり被害者保護措置に関する情報を広めたりする幅広いキャンペーンの実施、新たにシェルターとして使えそうな施設の確認、暴力の犠牲となった女性の少なくとも6カ月間の休暇延長、女性が暴力のスパイラルから抜け出せるようにすることを目指す基金の設立などである。

スペインではUGT FICAが、ナショナルセンターCC OOおよびUGTの要求を政府に伝え、仕事の世界における家庭内暴力の影響の軽減を規定するILO第190号条約の批准を促した。第206号勧告は、この新しい条約に関連して、特に家庭内暴力の被害者の休暇、柔軟な勤務形態およびこれらの被害者の解雇に対する一時的な保護、家庭内暴力に関する認識向上を取り上げている。

女性労働者の所得維持と雇用保護

危機の間に労働者の所得を保証して雇用を保護するために、全国政労使レベルまたは企業/職場レベルの交渉を行う

サプライチェーンの労働者の雇用と所得を保護するために、多国籍企業とグローバル・レベルの措置を取り決める

不安定労働者やインフォーマル経済の労働者が失業手当・失業保険を利用できるようにする

既存の社会的保護やセーフティーネットの恩恵にあずかっていない弱い立場にある労働者(インフォーマル経済の労働者や移民労働者など)向けの社会的保護と緊急支援について政府と交渉する

低所得世帯、特にひとり親家庭への重点的支援の確立や、融資・住宅ローン返済の一時停止について政府と交渉する

女性は、今回の危機によって最も被害を受けているインダストリオール関連部門のいくつか(衣料部門など)で労働者の大多数を占めている。

衣料産業は憂慮すべき状況にある。主要ブランドからの注文の減少と多くの生産国におけるロックダウンで、何千もの工場が閉鎖され、数百万人の女性労働者が停職や一時帰休、解雇に追い込まれている。

少なからぬ労働者が給料や手当をまったく受け取っておらず、ソーシャル・セーフティーネットの保護も受けていない。

南アフリカ共和国のSACTWUやインドネシアのGarteksおよびSPNのように、いくつかのインダストリオール加盟組織は何とか労働者の所得を保証することができた。インダストリオールはグローバル・レベルでブランド各社と交渉し、労働者の賃金・手当を支払って雇用を保護するために必要な措置を取ろうと努めている。

全世界で、女性労働者は不安定労働者とインフォーマル経済の労働者の大半を占めている。ユニフォーは不安定労働者を保護するために、カナダの連邦政府が、特別措置がなければ雇用保険の給付を支給されない弱い立場にある労働者(不安定労働者など)向けに、特別緊急所得援助金を実施するよう要求した。

モロッコではUMTが、自動車部門のケーブル工場で働く外注女性(および男性)労働者の雇用保護措置の取り決めに成功し、契約打ち切りではなく年次休暇を取得できるようにした。

SEWAは、インドで最も脆弱なインフォーマル女性労働者を支援しており、ロックダウン期間中にグジャラートで、特に移民労働者に食料を配っている。SEWAは国家労働省に、インフォーマル経済の労働者世帯が基本的ニーズを満たせるようにするための所得援助、危機継続中の無料公共配給制度、すべてローンの6カ月割賦返済を求めている。

柔軟な労働形態と有給育児休暇

全国政労使レベルまたは企業レベル/職場レベルの交渉を行い、労働者全員が危機の間に家族を養うために必要なすべての手配をする権利を尊重するために、柔軟な勤務形態(フレックスタイム制、在宅勤務)、労働時間の短縮(所得は維持)または有給休暇を導入する

働き続けざるを得ない親のために代替的な緊急育児支援を取り決める

社会規範の変容や男女間の家事・育児のより公平な分担を要求する

学校の閉鎖や高齢者が直面する固有のリスクは、家族の主な介護者である女性に影響を及ぼす。このような状況下で労働者、特に女性が雇用と所得を維持できるようにする措置の確立が重要である。多くの国々の政府が政労使交渉を経て、このための措置を採択した。

ジェンダーに対応した危機対策の策定

 政府・使用者に対し、Covid-19の影響を分析するために男女別データを収集し、ジェンダーに対応した短期・長期アプローチを策定するよう強く要求する

全国レベルの失業傾向や企業レベルのレイオフを監視し、Covid-19の結果、仕事の世界で既存の不平等が悪化することのないようにする

スペインではCC OOが、男女で異なる影響をよりよく確認して対応するために、Miradas violetas(パープルの観点)で男女別データ解析を求めた。この枠組みの中で、同労組は失業者数を綿密にフォローしている。

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