インドの安全性が危機的状況に――COVID-19期間中の労働災害で少なくとも75人が死亡

2020年7月7日

インドでは5月以降、30件を超える労働災害が発生し、少なくとも75人の労働者が死亡、100人以上が負傷している。この人数は報告された事故に基づいており、実数ははるかに多いかもしれない。

インド国民がCOVID-19ロックダウンを経て職場に戻っている中で、少なくとも2日に1回は労働災害が発生して労働者が死傷しており、周辺地域が汚染されて健康と環境に長期的な影響が及んでいる。

5月7日にアンドラプラデシュのLGポリマーズ工場で発生した有毒ガス漏出事故は、ボパールの悲惨なガス爆発事故を思い出させた。グジャラート州ダヘジのヤシャシュビ・ラーサヤン・プライベート・リミテッドでのボイラー爆発では、少なくとも8人が死亡し、約40人が負傷した。タミル・ナードゥのネイベリ・リグナイト・コーポレーションの火力発電所では5月7日に、さらに7月1日にもボイラーが爆発し、少なくとも20人の労働者が亡くなっている。

7月に入ってからも、化学工場や炭鉱、鉄鋼工場、発電所ボイラーで事故が続発している。契約労働者の幅広い利用、安全検査の不足、安全基準違反に対する不十分な罰則、使用者責任の欠如が、事故を助長している重要な要素である。

一連の事故で、組織的な失敗のパターンが明らかになっている。適切な運転停止手続き抜きの産業活動の休止、不十分な計画によるプロセス、ロックダウン中の十分な保守点検の省略が、産業プロセスが再開される中で事故を招いている。

インダストリオールはインド首相への書簡で、この種のミスはプロセス安全管理の失敗に該当すると強調、インド政府に対し、この安全管理上の組織的破綻に直ちに取り組み、1984年のボパール災害に相当する規模の大惨事の再発を防止するよう警告した。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、今日の記者会見で次のように述べた。

「回避できる死亡事故の続発を深く憂慮している。これは産業殺人にほかならない。インド政府は全国レベルで直ちに警鐘を打ち鳴らし、事故防止に向けて適切な安全対策・手順を義務づけるべきだ」

「国際基準、特に労働者の権利は安全性向上において中心的役割を果たす。政府は組合に関与し、組合の要求に耳を傾け、総合的に安全対策を実施・監視しなければならない。インダストリオールは、すべての利害関係者と協力しながら、安全性を高めるために技術サポートを提供する準備ができている。世界の国々とインドでボパールの悲劇を再発させるわけにはいかない」

INTUCとインダストリオール加盟組織インド全国金属労連の会長を務めるG・サンジーバ・レディー博士も記者団を前に発言し、次のように語った。

「インド政府は専門家委員会を設置して労働災害を分析するとともに、この安全上の危機に直ちに対処し、潜在的事故を防止すべきだ。政府は将来の事故を回避するために、全国レベル・工場レベルの両方で組合を意思決定プロセスに関与させなければならない」