定期大会議長挨拶

第2回インダストリオール日本加盟組織協議会大会

議長挨拶

2017年12月15日、東京


本日は、お忙しい中、第2回インダストリオール日本加盟組織協議会大会にご出席賜り有難うございます。協議会議長として、一言ご挨拶申し上げます。

本来であればインダストリオール本部のサンチェス書記長が本大会に出席する予定でしたが、ご家族がご病気で主治医に出張を止められた関係で、来日できなくなりました。本人からも、くれぐれも皆様によろしくとのことでした。残念ではありますが、その代わりにビデオメッセージをいただきましたので、後程上映いたします。

経済のグローバル化が加速し、多国籍企業の影響力がますます強くなってきているこの時に、国際労働運動、ITUC(国際労働組合総連合)、GUF(国際産業別組織)の果たすべき役割は、その重要性を増してきています。

2012年に、金属、化学・エネルギー、繊維の3つの製造系のGUF(国際産業別組織)が統合され、インダストリオールが結成され5年が経過しました。昨年2016年10月にはブラジル・リオデジャネイロで第2回世界大会が開催され、新執行部の下、結成時の基礎固めの段階から、活動をさらに発展させていく段階に入っています。

同世界大会では、「労働者の権利の擁護」、「組合の力の構築」、「グローバル資本への対抗」、「不安定雇用との闘い」、「持続可能な産業政策の促進」を5つの基本目標とすることが決定され、現在この目標に基づき活動を進めています。

日本においては、ここにいらっしゃるほとんどの方にご出席いただきましたが、インダストリオールの国内活動を推進するため、金属労協/JCM、インダストリオール・JAF、UAゼンセンが、昨年12月8日に本協議会を結成してから、1年が経過しました。

この1年間の最も重要な活動は、本部と日本を含めたアジア太平洋の加盟組織との調整役です。ご存じのとおり、インダストリオールには自治権をもったアジア太平洋地域がありません。このため、本部の方針に意見がある場合は、地域の執行委員会及び本部執行委員会でしか、正式に意見反映する場がありません。それでは十分ではないので、本部に正式にあるいは非公式に、できるだけアジアの考え方を伝えるようにしています。

具体的に、一番顕著だったのが東南アジア事務所移転の話についてです。結局本部はアジアの活動をできるだけ拡大し、かつ経費を抑えるためにシンガポールからマレーシアへの事務所移転を決定しました。その過程の中で、日本として経費のみを考え、安易に移転すべきでないとの意見具申を行ってきました。最終的には、移転することにはなりましたが、このように本部の方針に対し、出来るだけアジアとしての意見が入るように努力しています。

さらに、シンガポールとニューデリーにあるアジアの地域事務所と連携し、アジアの加盟組合を牽引し、地域活動の活性化に貢献する役割も担っています。来年7月には、第2回アジア太平洋地域大会がマレーシア・クアラルンプルで開催される予定であり、加盟協としても皆さんと共にその成功に向け、努力してい行きたいと考えています。

このほか、本部が行っているキャンペーンに対し、日本の加盟組合全体として取り組むべき時には、加盟協として対応してきました。例えば、バングラデシュ政府に対し、拘禁されている活動家の釈放を求める要請文を送付したり、アスベストの一種であるクリスタイルをロッテルダム条約における規制物対象にするよう外務省に申し入れを行いました。

加盟協の主な日常活動は、インダストリオール本部から来る連帯活動要請への対応、本部通達文書及びウェブニュースの翻訳、国際会議への参加の調整等です。

今後加盟協として、JAF、JCM及びUAゼンセンそれぞれの組織が行っている国際活動をどこまで担うようにするのかが、今後の検討課題だと思います。この点につきましては、皆さんと丁寧に議論を積み重ねながら、あるべき姿を模索していきたいと考えています。

インダストリオールは、インダストリー4.0及び貿易及び産業政策に関する意見集約や、不安定雇用対策にも取り組んでいます。特に、貿易政策については、米国の保護主義政策が強まることが懸念されるため、日本としての意見反映が重要となってきます。

国際活動を推進していくためには、国内の組織が強固でなければなりません。インダストリオールでさらに指導的役割を果たせるよう、まずは、金属労協/JCM、インダストリオール・JAF及びUAゼンセンに集う産別組織が、一層組織を強化・発展させるよう祈念しております。

最後になりますが、私の前任者である相原前議長及び今大会で退任予定の檀上運営委員および佐藤アドバイザーに対し、これまでのご貢献に感謝したいと思います。

本加盟協は、まだまだこれからの組織であります。是非、皆さんのご協力のもとにさらに発展させていきたいと思います。今後とも、よろしくお願い申し上げます。

以 上