バングラデシュ政府はILOロードマップを真摯に履行せよ

2024年2月27日

3月に予定されているILO理事会を前に、バングラデシュ政府が提出したロードマップ実施に関する報告書は、ロードマッププロセスの精神を守ることに取り組むのではなく、チェックボックスに印をつけることに終始しているように見える。インダストリオールはバングラデシュ政府に対し、ロードマップを誠実に実施するよう求めている。

ロードマップは、国際労働機関(ILO)憲章第26条に基づく苦情で言及された未解決の問題に取り組むためにバングラデシュ政府が起草した期限付きの行動計画である。この苦情は、複数の労働者団体が2019年にILOに提出したもので、バングラデシュ政府による条約第81号、第87号、第98号の不遵守に関するものである。ロードマップでは、(i)労働法改革、(ii)労働組合登録、(iii)労働査察・実施、(iv)反組合差別・不当労働行為および労働者に対する暴力行為への対処という4つの分野を優先的に扱っている。

2023年2月16日付のバングラデシュ政府報告書では、労働者の権利と職場の安全を保証するために政府がとった行動に関する具体的な詳細が、完全に欠落している。報道によると、バングラデシュ大統領は、改正労働法法案がストライキやロックアウトに伴う労働者に対する罰金を2万タカ(180米ドル)に引き上げる一方、使用者に対する罰金5,000タカ(45米ドル)は据え置いたため、同法案の承認を見送った。この規定は、労働者や労働組合に対するあからさまな差別である。

輸出加工区で適用される法律も含め、労働法・規則を改正するための三者協議プロ セスにおいて、インダストリオール加盟組織は相談も受けず、彼らの提案も考慮されなかった。インダストリオール加盟組織がバングラデシュの輸出収益の約 86%に貢献している既製服産業で働く組合員の 80%以上を代表していることを考えれば、彼らの関与の無い協議プロセスは茶番劇である。

昨年、インダストリオール加盟組織が支援する27組合が組合登録を申請したが、承認されたのはわずか8組合で、19組合が却下された。労働省が挙げた理由は、組合員数が労働者の20%未満であることだったが、これは誤りである。

バングラデシュ政府の報告書によると、2021年7月から2023年12月までに81,210件の査察が行われた。これは毎日約90件の査察が行われたことを示している。バングラデシュ政府の報告書によると労働検査官の数は450人ということだが、この人数と検査前後に行わなければならない作業の種類を考慮すると、この査察件数は誇張された数字である。

インダストリオールの加盟組織によると、労働裁判所には膨大な数の事件が未処理のままとなっており、そのような大量の事件を処理するのに十分な数の職員がいない。また、裁判所は最近、裁判の提出のために国民身分証明書とパスポートサイズの写真を要求するようになったが、労働者はこれに毎回対応するのは非常に困難だと感じているという。

昨年末、最低賃金に関する抗議行動を鎮圧するために治安部隊や 工業地域専門警察が暴力を行使したことは、バングラデシュ政府がロードマッ プの第4優先分野を履行していないことを示している。警察による抗議行動の残忍な鎮圧で、少なくとも2人の労働者が死亡し、多くの負傷者が出た。バングラデシュ政府の報告書はこの件に一切触れず、代わりに工業地帯専門警察を対象とした啓発セミナーを実施したと述べている。

インダストリオールのケマル・ウズカン書記次長は言う:

「インダストリオールはバングラデシュ政府に対し、インダストリオールの加盟組織や他の労働組合と誠実に協議し、ロードマップを真摯に実施するよう求める。」