インドネシアの新法案、労働者の福祉を台無しにする懸念

2020年1月15日

インドネシアの組合運動は雇用創出関連法案に猛反対しており、この法案は近い将来に労働者の福祉を破壊すると主張している。今月、全国的な抗議行動を実施し、議論を招く法案の廃案を求める予定である。

ジョコ・ウィドド・インドネシア大統領は2019年10月、海外直接投資の誘致と経済成長の確保、雇用機会の創出を主な目的に、重複している法律を合理化し、雇用創出と課税に関する2本の一括法案にまとめることを提案した。この2本の法案は、合計82本の法律と1,194の条項を修正する。

インドネシア合同労連(KPBI)、全インドネシア労働組合総連合(KSBSI)およびインドネシア労働組合総連合(KSPI)は、この法案は労働者の権利と給付を侵害すると非難している。特に争点となっている問題は、使用者が負担する退職手当制度の廃止、労働の柔軟性の拡大、使用者に対する刑事制裁の撤廃である。

KPSIおよびインドネシア金属労連(FSPMI)のサイド・イクバル会長は、週労働時間が35時間以下の労働者について最低賃金制から時給制に移行するという案は、インフォーマル経済を助長して労働者の貧困を悪化させる退行的な措置だと言う。労働者は病気休暇の取得や宗教義務の履行を理由に月額最低賃金を支給されないおそれがある、とイクバル会長は懸念する。

「失業給付を6カ月に制限する案に強く反対する。現行法では、労働者は9カ月、場合によっては最大18カ月の退職手当を受給しており、それに加えて最大10カ月の勤続手当を受け取ることができる。それらの給付が全部なくなってしまう」とイクバルは言う。

「政府が法案作成にあたって労働組合と協議し、労働者に不利な条項を削除するよう要求する。例えば解雇手当や、現行の5活動分野からの労働外注の範囲拡大、最低賃金を支払わなかった使用者に対する刑事制裁を撤廃などだ」とエリー・ロシタ・シラバンKSBSI会長は言う。

いくつかの極めて重要な課題、例えば不十分な労働監督や、賃金、年金および社会保障プログラムに関する物議を醸す問題が解決されなかったため、KSBSIは労働法の改訂を支持する、と同会長は付け加えた。この一括法案は、労働者が直面している問題に取り組むためではなく、投資家の利益となるように起草された。

KPBI、KSBSIおよびKSPIは1月15日と20日に労働者を動員し、全国的な抗議行動を行う。