ドイツの金属労組、賃上げと労働時間短縮を求めて大規模スト開始

 ドイツの金属労組、賃上げと労働時間短縮を求めて大規模スト開始

2018年1月11日

IGメタルは、使用者連盟ゲザムトメタルとの賃金交渉を控えて大規模ストを開始した。

この争議行為は1月8日(月)の警告ストと短時間の行動で始まり、労働者は数時間にわたって仕事を放棄し、街頭でデモを繰り広げた。フォルクスワーゲン、ポルシェ、メルセデスベンツ、ダイムラー、シーメンス、ティッセンクルップ、タレス、エアバス、ハネウェル、ボンバルディア、アトスをはじめ80社以上で、約16万人の労働者が行動を起こした。

IGメタルは、交渉に進展がなければ行動を拡大し、主要企業をターゲットに丸一日のストを行う予定である。金属・電子部門の労働者390万人を対象とする労働協約の第1回交渉が今日始まり、IGメタルは自動車メーカー数社の拠点があるバーデン・ビュルテンベルク州の地域使用者団体と会談している。

IGメタルは、ドイツの産業労働者のために根本的に新しい妥結を達成することによって、労働者が生産性向上の恩恵に預かり、ワーク・ライフ・バランスを改善できるようにすべく努めている。経済が活況を呈し、失業率が過去最低水準にある中、同労組は6%の賃上げを要求している。

もう1つの主な要求は、子どもや高齢の親の面倒を見るために労働時間を週28時間に短縮し、2年後にフルタイム雇用に復帰する権利の獲得である。IGメタルは200ユーロの介護手当の追加を求めるキャンペーンも展開している。同労組の考えでは、男女の性別による役割が変化しており、労働時間を短縮すれば、より多くの女性が労働人口に加わり、より多くの男性が介護責任を負えるようになる。

これまでは、企業のほうが従業員に柔軟性を要求してきた。IGメタルは、この方向を変えて、柔軟な仕事が労働者に利益を与え、家族生活に合う勤務パターンを選べるようにしたいと考えている。

インダストリオール・グローバルユニオン会長でもあるイェルク・ホフマンIGメタル会長は、南西部ザールラント州ホンブルクでの集会で労働者2,000人に語りかけ、次のように述べた。

「IGメタルがいるからには、3つの要素すべてを盛り込んだ労働協約しかあり得ない。すなわち、適正な昇給、一定期間にわたって労働時間を短縮する選択肢、すべての人が子育てや看病、健康のために労働時間を短縮できるようにする援助だ」

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。

「ドイツ経済は好調であり、労働者も生産性上昇の利益を得て、柔軟性に対する権利を持つようにするのが公正な措置だ」

「本当に歴史的に重要なのは、労働時間を週28時間に短縮するという要求だ。インダストリー4.0が仕事の世界にもたらす変化から、労働者も利益を得るようにすることが重要だ。このIGメタルの要求は、万人の役に立つ経済の構築において、労働組合が先頭に立っていることを示している」

230万人の組合員を擁するIGメタルは、世界で最も大きく最も有力な組合の1つである。同労組が交渉中の労働協約は390万人の労働者に適用される。