インダストリオール、公正な移行による気候行動を要求

2019年12月1日

国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)が2019年12月2~13日にスペインのマドリードで開催される。

インダストリオール・グローバルユニオンがCOP25に期待する成果

2015年にパリで開催されたCOP21では、気候変動に関するパリ協定が採択された。地球温暖化を1.5℃未満に抑えるべく努力することに世界各国が合意したメカニズムは、各国が自主的に決定する約束(NDC)である。最初のNDCは2015年に設定され、5年ごとに見直されることになっている。したがって、2020年開催予定のCOP26で見直される。

COP22、23および24は、パリ協定に関する詳細な実施ルールの多くについて合意した会議と考えることができる。労働組合運動にとって特に重要なのは、昨年ポーランドのカトウィツェで開かれたCOP24である。この会議では、いわゆるカトウィツェ・ルールブックが導入され、公正な移行に関するシレジア宣言が採択された。公正な移行はパリ協定にすでに記載されているが、シレジア宣言は、気候変動が労働者と家族、彼らに依存している地域社会や文化に及ぼす影響の考慮に対する全締約国の取り組みを勝ち取るうえで、非常に重要な一歩前進であった。

これから交渉すべき基本規則がいくつか残っている。特に、グローバルな排出権取引制度に関する規則や、(特に)世界の後発開発途上国が気候緊急事態に対処するための融資制度である。しかし今年のCOP25は、枠組みの設計から実施の促進に軸足が移る会議と考えていいだろう。

重要なのは、例えば各国が来年報告するデータ次第で、パリ協定の目標を達成するためにNDCの意欲をどれだけ高める必要があるかが決まることである。

NDCの現在の約束レベルが不十分であることに疑問の余地はない。したがって、加盟国は2020年のCOP26でNDCの改訂・強化に合意するだろう。それが理由で労働運動は今年、改訂NDCに公正な移行の文言を盛り込むよう締約国に圧力をかけることに注力している。これは国内レベルの討議で公正な移行措置を主張するうえで、私たちにはるかに大きな力を与えてくれるだろう。この努力と密接な関係があるのは、各国に、今年9月の国連気候サミットで発表された「仕事のための気候行動」イニシアティブに署名させようとする取り組みである。

先ごろのインダストリオール執行委員会で議論したとおり、明るい兆候が数多くある。公正な移行は今や主流の話題である。ILOは、より効果的な方法で気候討議に取り組んでいる。現在、世界中で公正な移行プログラムの好例がいくつか見られる。

しかし、大きな課題がインダストリオール加盟組織の多くを待ち受けている。気候危機が現にあることを疑う余地はなく、本格的な是正策・適応策をすぐにでも講じる必要があることは間違いない。欧州議会は11月28日、いみじくも気候緊急事態を宣言した。労働運動の任務は、この過程で労働者が見捨てられてしまわないようにすることである。

ヴァルター・サンチェス・インダストリオール書記長はこう述べた。

「再生可能なエネルギー源は価格が下がって競争が激しくなっており、これはいいことだ。しかし、世界中の採炭現場に閉鎖の大波が押し寄せており、企業、雇用および地域社会のための適切な再転換がない。労働者は、いわゆる自由市場に取り残されて気候解決策の代価を払わされており、雇用と地域社会が破壊されている」

「地球の未来だけでなく人間の未来――明るい未来、労働者が受け入れたくなる未来――も確保しなければならない。それこそ公正な移行というものだ」

ブライアン・コーラーがマドリードのCOP25から報告し、行事を要約する予定。このサイトをチェックのこと。